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「ヴェルサイユ宮殿にはトイレがない」とよくいわれるが、これは大きな誤解である。しかし、建造物の大きさに対し、トイレの絶対数が少なかったことは事実である。
ルイ14世の時代には独立した部屋にトイレがあったわけではなく、また常時宮殿で生活していた4000人に対し、椅子式便器が274個あっただけである。また王専用の汲取りトイレと約2000個のおまるがあった。ルイ15世や16世は、宮殿で水洗トイレを利用していたと文献にも見られる。15世の時代に50箇所の水洗式トイレが造られた。ただしこれ以外にはトイレがなく、当時の貴族たちは香を焚いた携帯便器を持参して毎夜の舞踏会に参加していたという。しかし、ほとんどは宮殿の広大な庭園の物陰で用を足していたらしい。そのため舞踏会の翌日ともなると、庭園の掃除は大変なものだった。貴婦人が使用した傘のように開いたスカートは、彼女たちが用を足すために考案されたものであるともいわれている。後に宮殿内にトイレが増設されたが、やはり絶対数が少なかったという。
フランス革命後、ある老婦人が宮殿を訪れ、鼻をつまみながら「ああ、楽しい時代を思い出すわ」と話したというエピソードも残されている。
現在では観光客のために宮殿内に2箇所トイレが用意されているが、それでも長蛇の列ができるらしい。しかも有料(0.4ユーロ。ユーロ施行前は2.5フランだった)。
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