0111.フグ
 日本におけるフグ料理の歴史は非常に古く、701年の『大宝律令』のなかにも「ふぐのすし」という記述を見ることができる。また、奈良県内の遺跡から大和時代のフグの骨も発掘されている。一般的に食べられるようになったのは江戸時代以降である。しかし「フグは食いたし命は惜しし」という言葉の通り、フグ毒にあたる武士が続出したために幕府がフグの食用・売買・漁獲に対する禁止令を出したこともある。
 現在は、各都道府県が交付する調理資格を持つ者のみがフグの調理を許されている。そのためには厳しい試験があり、解体した毒のある部分をカギ付きの容器の中に厳重保管しなければならないという規定がある。
 日本産のフグは海産種のみで、トラフグ・マフグ・サバフグ・ショウサイフグなどが調理用として用いられている。しかし、漢字で「河豚」と書くことからも分かるように、中国のフグは産卵のために河川に上り、淡水にも棲む種がいるらしい。
 フグ毒は「テトロドトキシン」という毒性物質で、主に卵巣・肝臓・腸皮に含まれる。マウスを使った実験では、致死量は体重1グラムあたり1億分の1グラム。マフグ1匹で33人を殺すことができるといわれている。この毒を初めて抽出したのは東京衛生試験所の田原良純で、1909年のことである。人工合成に初めて成功したのは1972年のことで、日本人の研究グループが成功している。
 また、フグのことを「テッポウ」いうことがあるが、これは鉄砲の弾に当たれば命を落とすこととかけている。九州の島原地方では棺桶という意味で「ガンバ」と呼ばれている。また日本一の水揚げを誇るフグの本場の下関や関西地方では、古代からの呼び方で“フク”と濁らないで発音する。これは腹をふくらませる意味から来ており、福という縁起も担いでいるようである。

フグの調理例
●フグ刺し(てっさ):器の柄が透けて見えるほど身を薄くそぎ切りにし、ポン酢で食べる
●フグチリ(てっちり):アラの部分(骨付きの身)を使い、野菜と一緒に煮て食べる鍋料理のことで、食べ終わったスープで雑炊を作るとだしが効いて美味である
●白子焼き:卵巣は猛毒のため食べられないが、白子は食べることができる。フグに白子が入るのは11月~4月頃で、焼いて食べると濃厚な味わいが口の中に広がる
●から揚げ:骨付きの身に粉をつけて揚げたもの
●ひれ酒:乾燥させたヒレをこんがりと焼き、熱燗の中に入れて味わう

作成 2004.06.06/更新 2004.06.06
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