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現存する世界最古の入れ歯は、1914年にエジプト・ギザで発掘されたものである。紀元前2500年ごろのものと推定されている。また、古代エトルリアの遺跡からは牛の歯を加工したものが、古代ギリシャの遺跡からは金を加工した入れ歯が発掘されている。「医学の父」と呼ばれているヒポクラテスの文献にも、今でいうブリッジタイプの入れ歯についての記述が見られる。ただし、古代インドでは、入れ歯に関する記述や遺物が発見されていない。
宋の時代の詩人、陸游の『歳晩幽興詩』に「近聞するに医で堕歯(落ちた歯)を補うを以って業となすものあり」とあるところから、中国では少なくとも宋の時代からは入れ歯があったといわれているが、それを示す物的証拠は発見されていないので、はっきりしたことはいえない。
近代になり、入れ歯の技術も次第に向上していった。アメリカのグリーンウッドは、彼が家庭医を務めたジョージ・ワシントン(初代大統領)のために、アメリカ初の金製有床義歯を製作した。また、パリの陶工ゲルハルトは、世界初の陶製入れ歯を製作した。さらに19世紀初頭には陶製の人工義歯が工業的に生産されるようになった。1825年、フィラデルフィアの宝石細工師だったストックトンが人工陶製義歯を年間50万個の大量生産を始めた。
日本では古墳時代の遺跡から入れ歯が発掘されていて、その歴史は非常に古い。室町時代末期から江戸時代初期になると、仏像彫刻の注文が減った仏師たちが生活の糧とするために入れ歯を作り始め、やがてそれらが「口中入歯師」として専門の職業となっていった。日本で残っている最古の総入れ歯は、剣術の名人だった柳生飛騨守宗冬(1613-1675)のもので、ツゲの木で作られていることを除けば現在の入れ歯と大差がなく、精巧にできている。陶製の入れ歯を最初に製造したのは法印渡邊良斎で、1889(明治23)年8月22日に特許を取っている。
現在の入れ歯は、アクリル系の樹脂で作られたものが主流である。
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