冷めた食品を温める電化製品の一つ。「マグネトロン」という装置から出るマイクロ波を使って水分子を振動させ発熱させる仕組み。
真空管において-極に電気を流すと、電子は+極へ向かって流れる。この流れに磁場をかけると「ローレンツ力」という力が作用してその軌道が曲げられてしまう。この仕組みを応用して作られたものが「マグネトロン」である。マグネトロンは+極が円筒形になっていて、その中心軸にあたる部分に-極がある。この場合、電子は円筒の中心軸から外側に向かって流れることになるが、マグネトロンの場合、この向きとは逆の方向、つまり中心軸方向へ向かって磁界が発生している。そうすると、電子は+極にまでたどり着くことができなくなり、円筒の周囲に設けられた「キャピティ」という小さな空洞を通過するたびに電子が振動を強め、マイクロ波(正確には「極超短波」、無線LANや携帯電話・テレビのUHF(13ch~)などにも利用されている)を発生させる。このマイクロ波を取り出す装置が「マグネトロン」である。
食品加熱用に利用される電子レンジの場合、周波数は2.45GHzになるよう設定されているが、これは水分子の固有振動数と一致しており、そうすることによって水分子を発熱させるためである。マイクロ波の振動が水分子を1秒間に24億5000万回「おしくらまんじゅう」させているといえば分かりやすいかもしれない。
マグネトロンは本来レーダーのために用いられていた。そのためレーダーを使って物を温めることができるということは研究者たちのあいだで知られており、レーダーを使ってポップコーンなどを作っていたが、これを食品加熱用の機械として開発したのは米国マサチューセッツ州ウォルサムのレセイオン社のレーダー設備設置技師だったパーシー・ルバロン・スペンサーである。ポケットの中にあった食べかけのチョコレートバーが溶けていたことから、レーダー装置が調理用としても使えると考えた彼は、1945年10月8日に電子レンジの特許を取得している。レセイオン社は1947年に「レーダー・レンジ」の商品名で発売を開始した。日本では1964(昭和39)年開業の東海道新幹線のビュッフェに導入されたころから、家庭にも普及するようになった。 |
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