0189.地下鉄
 世界初の地下鉄はロンドンで開通した。当時のイギリスでは鉄道建設が盛んであったが、ロンドン市内では建物が密集しており、地上部での鉄道建設は困難を極めた。時のロンドンの法務官、チャールズ・ピアソンは、1834年に開通したテムズトンネルをヒントにロンドン市内の地下に鉄道を通すことを計画、1863年1月10日、ロンドンのパディントン-ファリンドン間・約6kmにメトロポリタン鉄道(現在のサークル線(Circle Line)の一部。この「メトロポリタン鉄道」が「地下鉄」を意味する「メトロ」の語源となった)が開業、以後路線は徐々に拡大されていった。開業当初、車両に蒸気機関車が使用されていたため、排煙対策のため駅構内は天井を設けない換気性を確保した構造となっており、路線の一部も掘割となっていた。ロンドン地下鉄が電化されたのは1905年のことである。
 ロンドンの次に地下鉄が開通した都市はハンガリー(当時のオーストリア・ハンガリー帝国)のブダペスト「フランツ・ヨーゼフ線」で、1896年5月2日のことである。しかしながら、着工そのものはロンドンよりも早く、開業が遅くなっただけで、ある意味世界初の地下鉄ともいえる。こちらは開業当初から電化されていたので世界初の地下鉄の電化路線ともなった。このフランツ・ヨーゼフ線はトンネルを掘ったのではなく、道路を掘り下げて地下鉄を通し、その上に蓋をしたようなスタイルのもので、地下の非常に浅いところを走っている。
 1900年に開通したパリの地下鉄の1号線は、3回目のパリ万博に合わせて建設された。また、鉄車輪の外側にゴムタイヤを持つ世界初の鉄道路線でもあり、パリ地下鉄では2006年現在1号線・4号線・6号線・11号線・14号線がこの方式を採用している。その他、メキシコシティ、モントリオールにも同システムの地下鉄が走っている。なお、1971(昭和41)年12月に開業した札幌市営地下鉄もゴムタイヤ方式を採用しているが、パリのものとは軌条方式の異なる独特のシステムとなっている。
 地下鉄は、ロンドンの開業以来、徐々に世界の主要都市に建設されていったが、日本で初めて地下鉄路線が建設されたのは1915(大正4)年5月23日。しかし、これは東京駅と東京鉄道郵便局を結ぶ郵便貨物専用の路線であった(1940(昭和15)年廃止)。旅客営業を始めた日本初の路線は、早川徳次(はやかわのりつぐ)が創設した東京地下鉄道の浅草-上野間(現在の東京メトロ銀座線の一部)2.2kmで、1927(昭和2)年12月30日のことである。開業当日は「東洋唯一の地下鉄道」の開業となり、電車に乗るまで1時間待ちになるほどの混雑ぶりだった。運賃は10銭均一で、10銭白銅貨を改札受け口に入れると通り抜けられるターンスタイルの自動改札機が採用され、大人気を博した。

作成 2006.04.14/更新 2006.04.14
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