0039.イラガ
Hoshiyan様 からの投稿雑学
 イラガというと、あの幼虫のドクドクしい色、なんといっても、刺された時の激痛が頭に浮かぶ(Hoshiyanは田舎育ちなので)。しかし、こいつの凄いところは寒さに強い、めっぽう強い。
 大抵の昆虫の越冬時の凍結防止策は「過冷却」という方法だ。「過冷却」とは、本来なら凍る温度になっても凍結しない現象だ。大方の越冬する昆虫は、休眠前に体内のグリコーゲンをグリセリンのような物質に変え不凍液として働かせる。それでも、-25℃前後になれば凍結し死ぬ。
 ところが、イラガは-180℃で70日間おいても復活したという。確かに、細胞組織のあいだを満たしている体液は凍るが、細胞までは凍らない。この時の細胞の水分は周囲の凍結体液に誘えわれて、萎びているらしいが、死んではいない。これは「細胞外凍結」というイラガ独自の寒さ防衛策だ。
 ただし、この生物離れした防寒機能を発揮できるのは、サナギになる前段階の「前蛹」といわれる時に限られる。
 恐るべしイラガ!

たろうの補足
生物の中には極限状態にさらされてもそれに耐えられるような機能がいくつかある。Hoshiyan様が指摘された「不凍タンパク質」や「細胞外凍結」もその一種。不凍タンパク質にはグリセリンのほか、ソルビトールやトレハロースなどが知られている。
クマムシという体長1mm以下の微生物は、不死身に近い耐性を持っている。乾燥時にカプセル型に収縮することにより、周囲の乾燥に耐えることができる。これは「クリプトビオシス(ラテン語で「隠された生命」の意味)」と呼ばれ、この状態のクマムシは驚異的なほどの生命力を発揮する。乾燥状態にはもちろんのこと、100℃の高温に6時間、150℃でも数分間、絶対零度の超低温、真空状態、人間の致死量の1000倍もの放射能下などにさらされても、通常の状態に戻して水分さえ与えれば、何事もなかったかのように通常の生命活動を行なうことができることが研究により明らかにされている。ただし、クリプトビオシス状態のクマムシは仮死状態に近いため、このような極限状態に耐えることができるのであり、通常の状態では42℃でダウンしてしまう。また急激な乾燥には弱く、ゆっくりと乾燥させることで、体内の水分を徐々に減らし、クリプトビオシス状態になることができる。

投稿日 2006.08.19
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