0055.アルコールの吸収
Hoshiyan様 からの投稿雑学
【飲み屋での会話】
 「水って、あんまり飲めないけど、ビールはどんどん飲めるよな」
 「ああ、それは、水は胃で留まっちゃうけど、ビールなんかのお酒は腸まで入っていくからな」
※まあ、感覚的にはそうだけど、その解説は間違っているぞ。
 化学的に説明すると…。
 飲んだ水は胃にあるときは、ほとんど吸収されず、腸に到達してから身体に吸収される。それに対し、ビールなどのアルコールを含む酒は胃にあるときからアルコールが胃壁を通して吸収されるし、アルコールが吸収されるとき、ついでに水酸基を同じくする水分も連れていく。しかし、そのアルコールとて、ビールなら4~5%くらいのものだから辻褄が合わない。
 他方、尿を作る腎臓は一日に18リットルくらい水分が通過し、ほとんどがリサイクルされて身体に戻るので、尿として排出されるはその10分の1以下だ。そのリサイクル指令を出すのがバソプレッシンという抗利尿ホルモンで、アルコールはその働きを抑制する。
 だから、ビールなどのお酒を飲むとオシッコが止らなくなり、ビールなどは、スルーして体外に排出され、水と比べると比較にならないくらい飲めることになる訳だ。


たろうの補足
ビールを飲むとトイレが近くなる…いわゆる「利尿作用」という生理現象で、コーヒー・紅茶などに含まれる「カフェイン」や、きゅうりに含まれる「イソクエルシトリン」などでも起こるが、アルコールの場合はそれ自体が利尿作用を促す物質となっている。
尿は普段カルシウムやカリウム・マグネシウムなどの塩類と一緒に排泄されるが、ビールには特にカリウムが多いため、さらに利尿効果を促進する働きがある。またビールの場合、その利尿作用によって飲んだ量よりも多くの水分が体内から排泄されるため、体内で脱水症状が起き、体が水分を求めてしまう。二日酔いになると水を飲みたくなるのはそのためである。
水の場合、浸透圧などの関係でアルコールよりも体に吸収されにくいという点もある。よって、アルコール類で脱水症状を起こした場合は、尿と一緒に排出されてしまうカリウムなどを多く含むジュース類やスポーツドリンクなどで水分を補給するとより効果的といえる。また、水分を90%以上含んでいるとはいえ、ビールはあくまで「アルコール」であり、水とは別の物質であるので、飲酒の際はその点を注意して摂取する必要がある。
ちなみにビールの利尿作用を日本人で最初に研究した人は、ドイツ留学中の森鴎外で、1890(明治23)年のことだといわれている。

投稿日 2007.02.08
<0054  投稿雑学TOP  0056>

copyright (c) Hokkaido Zatsugaku Society