0057.植物の氷結
Hoshiyan様 からの投稿雑学
 植物の葉に着く水滴は物理学的には-5~10℃くらいにならないいと凝固しないと考えられていた。氷水の凝固点は0℃と習うが、実際にはきっかけとなる核がなければ氷点下でもなかなか氷にはならない。これはご存知の過冷却現象と呼ばれるものである。しかし、実際には-2~3℃で葉の水滴は凝固してしまう。1980(昭和55)年ころまではナゾの一つであった。これには氷核活性細菌と呼ばれる細菌が関わっており、この細菌は自らを氷で包むことで冬の寒さから身を守っている。この細菌が出す氷核活性物質は水を凍りやすくする作用がある。これは農作物への霜害の原因になる。

たろうの補足
細胞内の水分が氷結してしまうと、細胞が破壊され、植物自体が死にいたる。しかし、植物は周囲の気温が氷点下になっても凍結しないよう、主に以下の3つの方法で抵抗している。
 1)0℃以下にならない地中や水中を生息地に選び、氷点下の温度を避ける
 2)過冷却現象の利用や細胞内を乾燥させることにより、凍結そのものを回避させる
 3)細胞壁の外側に接する部分で水分を凍結させることにより、細胞内部の破壊を防ぐ
 ちなみに(2)の「細胞内の乾燥」と(3)の「細胞壁外側での水分の凍結」の違いは、(2)が水分を外部に放出するのに対し、(3)は氷となった水分が細胞と接しており、暖かくなれば再び細胞内部にその水分を供給できることである。
また、気温が低くなると多量に合成される特殊なタンパク質や、低温にさらされた時にだけ発生する特殊な遺伝子(低温誘導性遺伝子)の存在も知られており、氷点下時の植物の生命維持に役立っている。
過冷却現象は水に限らず多くの物質でも起きることが知られている。しかし、その状態を維持できるのは物質が極めて安定した状態にある時のみで、ちょっとした振動やわずかな異物の混入により、すぐに固体化してしまう。
農作物に対しては霜害をもたらす氷核活性細菌を逆に利用して、作物に害をもたらす越冬害虫の体細胞を凍結させ致死させる微生物農薬や、多少気温が高くても融けにくいスキー場の人工降雪剤などが開発されている。

投稿日 2007.02.17
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