昔は「ウナ電」といえばかなりメジャーなものでした。今では、その響きから「ウナギ料理の一つ?」と勘違いしそうな言葉です。
では、そもそも「ウナ電」とは一体何のことなのか見てみましょう。
“ウナ電”は緊急時の大切な連絡手段だった
「ウナ電」は「至急電報」のことを指した言葉です。通常の電報の2倍の料金で、夜でもすぐに配達してくれました。
たとえば、ひと昔前の時代を舞台にしたドラマに出てくる「チチキトク シキユウレンラクコウ (父危篤、至急連絡乞う)」という電報が、ウナ電にあたります。
このウナ電の「ウナ」とは、英語の“urgent (緊急)”の頭2つの文字“ur”をモールス信号に当てはめて、それをローマ字からカナ文字に置き換えた言葉になります。
ウナ電は通常の電報よりどれぐらい早く届いた?
では、このウナ電は、通常の電報(普通電報)よりどれぐらい早く届くようになっていたのでしょうか?
通常、電報は受付順に発信されるので、発信された段階では、普通電報とほとんど変わりはありません。しかし、受信した側では、電報を受けると、配達するエリアごとにまとめるための待ち時間というものが設定されていて、普通電報は60分、ウナ電は40分と決められていました。
つまり、ウナ電の「至急」とは、相手先へ20分早く届けるための電報でした。
ウナ電の廃止とその後
緊急時の大切な連絡手段だったウナ電。しかし、時代とともにウナ電以上に便利で早い連絡手段(おもに電話)の登場により、1976年に廃止となってしまいます。
現在ではインターネットが普及したことによって、世界中どこでも、すぐに本人と連絡を取れる時代となりました。
今でも使われている「ウナ」
「至急」を伝える「ウナ」。今ではしっかり死語になってしまったかというと、そういうわけでもありません。日常で「ウナ」を使う人はほとんどいませんが、ある商品名にしっかりと残されています。
もうお気づきかもしれませんが、虫に刺された時、すぐにかゆみを止めてくれるという、あの虫さされのクスリの名前…そう「ウナコーワ」の「ウナ」は、すぐにかゆみを止めてくれることから「至急」という意味の「ウナ」をとって「ウナコーワ」といいます。「コーワ」は、ウナコーワを取り扱っている「興和株式会社」から来ています。
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