オホーツク海は、日本列島を囲む海の中で、唯一カタカナで表される名前の海です。明らかに日本語ではありません。
では、オホーツク海の、日本語での呼び名はなかったのでしょうか?漢字での表し方はないのでしょうか?
オホーツク海ってどんな海?
地図で全体を見てみると、オホーツク海はかなり広い海であることが分かります。
表面積は約152万8000平方kmで、日本の総面積、約37万8000平方kmのおよそ4倍あります。平均の水深は838mで、比較的浅い海です。
また、オホーツク海は水産資源が豊富で、タラやカニなどの漁場でもあります。冬は海面に氷が張り、流氷となって北海道までやってくることもあります。
ところで、オホーツク海の「オホーツク」とは、どのような意味で、なぜこの名前になったのでしょう?
海の名前はもともとなかった
オホーツク海の周辺に住んでいる、先住民族のアイヌやウイルタなどの人々が、この海のことを、何と呼んでいたかという記録はありません。
また、昔の日本人が名づけた、和名の記録も残されていません。
移住したロシア人が街にオホーツクと名づけた
海の名前が「オホーツク」となったのは、ある沿岸の都市の名前が関係しています。
サハリンよりさらに北、東部シベリアの沿岸にある、オホタ川の河口部に、オホーツク市があります。今でこそ、人口が1万人もいない小さな街ですが、かつてはロシア極東地方の主要な商業都市として栄えていました。
昔、この土地の先住民であるエベンは、オホタ川を彼らの言葉で「川」を意味する普通名詞から「オカタ(okata)」と呼んでいました。
17世紀になって、ロシア人が入ってきてからは、オカタ川はロシア語風になまり、似た音を持つことばで「狩猟」を意味するオホタ(okhota・ロシア語表記охота)川と呼ばれるようになりました。
その語尾に、ロシア語の地名接尾辞-sk(ロシア語表記-ск)を付け、「オホタ川の都市=オホーツク(Okhotsk・ロシア語表記Охотск)」という都市の名前にもなりました。
オホーツクが海の名前になるまで
オホタ川がまだオカタ川と呼ばれていたころ、ロシアの入植者たちはオカタ川が流入する海のことを「オカタ海」と呼んでいました。
しかし、川の名前が「オホタ」に変わり、あわせて海の名前も「オホーツク海(Sea of Okhotsk・ロシア語表記Охотское море)」となりました。
本来この名前は、オホーツク市の近くの海域を指しましたが、それがやがて、オホーツク市を含むシベリア大陸・カムチャツカ半島・千島列島・北海道・サハリン(樺太)に囲まれた海域全体を指す名前として用いられるようになりました。
“オホーツク”を漢字で書くと?
“オホーツク”を漢字で書くことはできないのでしょうか?答えを言うと、できなくはないです。当たり前ですが、中国語では漢字で表すからです。
中国語では、オホーツクを音訳した“鄂霍次克”で表します。
また日本でも、明治・大正時代の新聞などで“鄂哥都加”とを当てていたことがあります。当時は、漢字圏ではない外国の人名や地名なども、漢字で表すことが一般的でした。
ちなみに、福沢諭吉が書いた、世界の国や地域を紹介した『世界国尽』では、オホーツク海を“御子突海”と表しています。
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